理学療法士で1000万円を目指すことはできるのでしょうか？なかなかリアリティの無い数字に思えるかもしれませんが、不可能ではありません。
ただし、ふつうに理学療法士として働いていてもイレギュラーな数字である年収1000万円に到達することは難しいでしょう。
この記事では、理学療法士を活かしつつ年収1000万円を目指せる方法についてまとめてみました。
- 理学療法士を活かして年収を1000万円を目指すなら起業(副業)・教授・海外勤務
- ふつうに働いても理学療法士は年収1000万円を目指せるポジションにいない
- 理学療法士個人のポテンシャルは高い｜勉強する人ほど年収は高くなりやすい
理学療法士を活かして年収1000万円を目指す方法
まず、理学療法士の平均年収が420万円くらいと考えると、年収1000万円超えは外れ値です。ふつうなことをしていては外れ値を出すことはできないので、一般的な働き方をしていては年収1000万円到達は難しいでしょう。
理学療法士を活かして1000万円を目指すなら、サラリーマンとしての給与所得を当てにする「ふつうのPTの働き方」とは違う働き方を目指すのが良いでしょう。
副業・起業する
自分で事業を立ち上げ、収入上限の制限がかからない状況を作ってしまえば、年収1000万円を目指せる可能性が生まれます。
たとえば
- 高時給のリラクゼーションサロンを個人経営
- ネットを活用して非常に多くの顧客から利益を得る事業を経営
などが考えられるでしょう。個人事業の場合、単価に制限はありませんから、自分自身で設定することができます。リラクゼーションサロンの1時間の単価を1万円以上に設定することも自由です。
ネットを活用した事業における単価はさまざまなケースが考えられますが、商品を作って売ること考えた時、その値段を設定するのは自分自身です。また、低い単価であっても多くの顧客にアプローチできたなら、高時給を稼ぐことになり得ます。
個人事業を作り、うまく立ち回ることができれば、年収を大幅に増加させることができるでしょう。
もちろん、個人事業1本で稼ぐことを想定すればリスクがあります。サラリーマンのように働いた時間分だけの賃金がもらえる仕事形態ではないため、事業がうまくいかなければ1円の保証もありません。
しかし、副業であれば、雇われ先からの安定した給料を確保しつつ、副業で働いた分のお金を稼ぐことができるため、ある程度の金銭的な保証がありながら事業を作ることができます。
収益を上げるのは簡単ではありませんが、より単価を上げられる可能性のある事業に挑戦することで、年収アップの可能性を作ることができるでしょう。
「誰かに雇われる仕事で1000万円以上稼ぎたい！」と思う方もいるかもしれませんが、理学療法士としてそれを目指すのはかなり難しそうです。
国税庁が発表している「平成27年民間給与実態統計調査結果」によると、年収1000万円超えのサラリーマンの割合は4.3%とされていますが、一般的なサラリーマン年収の平均値・中央値より低めの値が出ている理学療法士の場合、その4.3%以内に入れる確率はより低くなってしまうでしょう。
とは言っても、同年の年収1000万超えの個人事業主の割合は4.6%なので、あまり大きな差はありません。
しかし、サラリーマンは基本的に「時間に対して賃金が支払われる労働」になります。そして、その時間に対する賃金を決めるのは自分自身ではなく、雇い主や管理者です。
雇い主や管理者との契約によって年収1000万円を超える可能性を見出せるのであれば、転職・昇進・昇格の道を突っ走るのもアリですが、賃金については他者に委ねられる部分が大きいというリスクがあります。
なので、なるべく自己決定できて拡張性のある個人事業を作ることで、年収を1000万円まで増加できる可能性を作りやすいでしょう。
副業は、無理な事業をしなければ、徐々に年収を上げやすいためオススメです。
教授になる
平均年収.jpによると、大学教授として働いている人の平均年収は1112万円とされています。
大学教授の年齢別年収を見てみると、35〜39歳で年収989.7万円なので、比較的若いうちから高年収を狙いやすいかもしれません。
ただし、大学教授として働く人の平均年齢は57.3歳とされているので、若い大学教授というのはレア。それだけ目指すのは簡単ではないことが予想されるでしょう。
大学教授の仕事は、研究や指導が主になりますから、大学教員の道を進むのが一般的です。
もし、大学教授を目指したいなら、現役の20代理学療法士教員である「こあらぶっく」さんのブログを参考にしてみてください。
海外(アメリカ)で働く
最近、供給過多とされ、平均年収420万円・年収中央値351万円と、日本人の平均年収を下回ってしまう理学療法士ですが、海外の理学療法士の評価のされ方は日本と異なっています。
たとえば、アメリカの理学療法士を例に挙げてみると、平均年収は7万9860$とされています。これを日本円に換算(令和4年10月1日の「ドル/円」)すると、1149万9840円になります。
ただし、アメリカのPhysical Therapist(理学療法士：PT)は、日本で言う博士課程を卒業する必要があり、大学卒業後に3年間の大学院に通う必要があるとされているため、日本の教育課程と異なることを理解しておく必要があるでしょう。
ちなみに、アメリカでは理学療法士は大きく分けて2種類あり、Physical TherapistとPhysical Therapist Assistant(PTA)があります。
PTAは日本でいう短期大学や専門学校卒業程度で就くことのできる仕事です。平均年収は3万9430ドル。日本円に換算すると、567万7920円になります。
働き方についても日本とアメリカでは異なりますが、ここでは割愛します。ただ、理学療法士を活かしつつ年収1000万円を目指すなら、アメリカで働くことを目指すのもアリでしょう。
詳しい情報については以下のサイトを参考にすると良いでしょう。
※「アメリカでPTとして働きたい！」 米国在住の筆者がライセンス取得条件・驚きの給与相場を教えます
ふつうに理学療法士として働いて年収1000万円を目指すのは難しい
日本では、世帯年収を見てみても1000万円を超えるケースはレアです。つまり、個人で1000万円を超えるのは相当難しいでしょう。
また、日本においては年収の高い方の属性がほとんど決まっており、理学療法士はその属性に含まれていませんので、ふつうに理学療法士として働いていても年収1000万円に到達するのは難しいと言えます。
世帯年収1000万円超え世帯は12.1％｜理学療法士個人の平均年収から考える
令和元年度の厚生労働省の調査によると、日本における所得の分布は以下のようになっています。
年収1000万円を超える世帯は12.1%です。世帯なので個人の所得のデータではありませんが、世帯で考えても年収1000万円を超えるのは難しいと言うことになります。
そして、理学療法士の平均年収は約420万円・年収中央値は351万円とされており、世帯ではなく個人で年収1000万円超えを目指すのは相当難しいと予想できるでしょう。
サラリーマンとして稼げる業界・性別・年齢は決まっている
2020年 国税庁「民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの給与所得で年収1000万円を超えるのは4.5%とされています。さらに、年収の高い領域は、ほとんど年齢や性別、職種などの属性で決まってきます。
国税庁の「令和2年分 民間給与実態調査 平均給与」を見てみましょう。
まずは年齢と性別における給与の違いです。
上記のように、定年間際に向かうほど給料は高くなりますし、女性より男性の方が給料は高くなります。
次は職種による給料の違いを見てみましょう。
職種によってかなり大きな年収の差があることが分かります。電気やガスなどのインフラ業界、金融業界などが突出して平均年収が高くなっています。
これらのことを踏まえると、日本における高年収の属性は自ずと以下のようになるでしょう。
- 定年間際の年齢
- 男性
- インフラや金融系の職種
ということになります。もちろん、医療・福祉系には医師が含まれており、イレギュラーな事例があることは否定しませんが、基本的には属性に左右されることは間違いありません。
ちなみに、理学療法士の性別・年齢別の年収については以下の記事にまとめてみました。
上記記事のデータを参考にしてみると分かりますが、理学療法士として働いて年収1000万超えは、相当な外れ値になります。
やはり、ふつうに理学療法士として働いていても年収1000万円を超えるのは難しいことが予想されます。
理学療法士個人のポテンシャルは高い｜学ぶからこそ年収アップが望める
理学療法士が1000万円を超えるための方法と、一般的な働き方をしていては年収1000万円超えは難しい理由について解説してきました。
なかなか厳しい現実はありますが、年収1000万円超えという日本の中で考えてもイレギュラーなポジションを目指すなら、ふつうの働き方をしていては目的を達成できません。
しかし、この記事で解説してきたように理学療法士が年収1000万円を超えるのは難しいことではありますが、絶対にムリな話ではありません。
年収の高い人ほど勉強しているということは雑誌プレジデントなどの調査で明らかになっています。
勉強を惜しまない理学療法士だからこそ見える未来があるでしょう。
参考1：個人事業主の平均年収・中央値など
参考3：給与階級別の年収データ
